≪レディ・ツインクル!≫  ■back 
   □何行か毎の空白行は、読みやすさのためで、他意はありません。

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 フィーとイクミは、中央警察庁を再訪問した。今度はお付きの警官たちは、何も言わずについて来る。
 警察庁ビルの入り口風除け室で案内板を見て、65階が最上階だと、もう一度確かめた。案内カウンタには、相変わらず男女二人が座っている。さっきと同じ人物なのかどうか、制服とサングラスのせいで、判断がつかない。イクミは、どっちだっていいや、と思いながら、声をかけた。

「こんにちは。さっきは失礼しました。」
「はい、どのようなご用件でしょうか。」
 やはり男性の方が答えた。
「星間警察のツインクル調査官は、今朝早く出立したんでしたよね。」

「失礼ですが、あなたはどちら様でしょうか。」
 やっぱり、さっきの人とは交替したんだ。いや、例え、その日二度目の訪問でも、相手を確かめるようマニュアル化されているのかも知れない。イクミは一瞬にそう考えながら、こちらもさっきと同じ答えをした。
「調査官をアーゴにお連れしたうちの一人、私はイクミ・アーヴィング。」

 ついでに、パスも彼の目の前に掲げた。フィーも一応名乗った。
「少々お待ちください。」
 案内カウンターの警官は、手元のコンソールをいじる。やはり交替したのだろうか。
「ツインクル調査官は、確かに今朝早く星間警察本部へ向けて発たれました。」

「ええ、さっきお聞きしました。それで、調査部の、ええと―――シャンデさんにお会いしたいんですが。」
「調査部の、シャンデ、ですか?」
 またコンソールを操作する。
「ええ、確か、レイチェル・シャンデさん。」

「総務局調査部のレイチェル・シャンデ、ですね。アポイントメントはお取りですか。」
「これから取ってください。」
 しゃあしゃあと言ってのけるイクミに、ややあきれたようだが、警官は内線通話を始めた。

「はい」「はい」と言うだけで、用件を話しているようには見えなかったが、
「すぐお会いできるそうです。奥の右手側にエレベータがありますから、63階までおいでください。その階の受付にお話ください。」
「ありがとうございます。」
 礼を言って、エレベータへ向かう。


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