≪レディ・ツインクル!≫  ■back 
   □何行か毎の空白行は、読みやすさのためで、他意はありません。

15

 一同でコクピットへ入っていくと、フィーは、船外服のままパイロット席にふんぞり返っていた。
「たった今、再チェックが終わったぜ。外殻の強度も回復してる。レイがもう一遍チェックしてくれよ。で、そっちのねえさんの扱いはどうすんだ。」
「フィーはどう思う?」
 レイは答えながら、フィーの隣のナビゲータ席に着いて、再度船体のチェックを始めた。

「ここで降りてもらえれば大助かりだが、そうもいかねい。アーゴまでご一緒してもらって、現地の警察へ行ってもらいましょ、ってとこか。」
「オーケイ、おおむね同じ結論だ。」
「常識的過ぎたか?」
「ところがちょっと違うんだな。お姉さん、ケーサツなんだって。」

 イクミが口をはさむが、フィーは動じない。
「そうか。同じ結論てえことだな。」
「どうしてよ?警察に突き出すんじゃなくて、お姉さんが警察なのよ。」
「だから、アーゴに着いたら警察に行ってもらうってことだろ。」
「だから、違うんじゃないの?」

 またか、とレイが二人を止めようとする前に、ジェイナスが言った。
「あら、イクミちゃん、私が星間警察の調査官だって、認めてくれたのね。」
「認めたなんて、言ってませんよーだ。お姉さんが、警察だって言っている、って言ったのよ。」
「ジェイでいいわよ。」

「ジェイさんが、ね。」
「ただのジェイ。」
「ジェ、ジェイ。ジェイ?」
「はい。」
 イクミは心なしか顔を赤らめている。いつの間にか、ジェイナスのペースだ。

 そこへ再び、例の未確認物体接近を知らせる電子音が響いた。室内の空気が緊張する。
「みんな席に着いてベルトを締めろ!」
 フィーがほとんど反射的に叫んだ。レイが確認にかかる。
「さっきの追っ手だ。信じられない。どうして探し出せたんだ?──ハイパートレーサーか!ハイパードライブの痕跡をたどって追跡ができる。軍の機密のはずだぞ。」
 振り返ってジェイナスをにらみつける。

「あなたが本当に星間警察なのかどうかはともかく、奴らがハイパートレーサーを使うとしたら、それはなぜだ?僕らは宇宙軍を相手にしているのか?」
 それじゃあ勝ち目はない、という顔のレイに、ジェイナスは真顔で答えた。
「いいえ、まさか。でも、もし奴らがハイパートレーサーを持っているとしたら、それだけ病巣が深いってことだわ。」
 最後は独り言に近くなった。


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